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■第5回「私の好きな農村」フォトコンテスト |
【趣旨】 |
農村を単に農業生産を支える生活の場としてとらえるのみではなく、自然と人間が織りなしてきた農村の伝統・文化に視点をおいた田園空間としてとらえることが重要となってきています。農村の持つ豊かな自然、伝統文化等の多面的機能を再評価し、美しい農村景観等の保全・復元等を行うことが望まれています。このような中で、自然景観及び文化遺産などの建物の中に閉じ込めず、現地において、保全・育成・展示するエコミュージアム活動がヨーロッパを中心として行われており、日本でもその取り組みがはじめられています。 そこで、豊かな自然、歴史・文化に包まれた日本の農村を再発見するために、「エコミュージアム」をテーマにした写真を広く公募し、応募された優秀な作品を表彰するとともに、作品集やパネルの展示を通じ、作品を多くの人に紹介し、農業の環境整備に関する理解を深め、豊かで美しい農村環境の維持・保全・形成に役立つことを期待するものです。 |
平成12年3月 主催 社団法人 農村環境整備センター |
■表彰 | |
金賞1点 銀賞2点 銅賞3点 佳作29点 | |
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最近は「風景写真」という言葉が、ひとりよがりな写真というものを指すような感じで、すこしネガティブな使い方をされることがあります。会議のための会議というのと同じように、風景写真ための風景写真となってしまった傾向が、揶揄されているのだと思います。
それに対して、同時代性をはらませた「自然写真」という言い方がよくされるようになってきました。 これは写真家の宮島康彦さんがきっかけをつくった傾向で、「花鳥風月」写真とは異なった新しい環境自然を発見しようという流れです。 自然保護の論議も盛んな今日、「美しい」自然の病をもっともよく知っているのは写真家たちであるはずだから、美意識の図像化だけを求める旧来からの風景写真の世界にもっと冷静な目を向けよう、というものです。 このコンテストにおいても、応募写真には「風景写真」と「自然写真」という、環境に対する2つのスタンスの傾向を見出せるように思います。 ところで、今回の副題は「エコミュージアム」、でした。「ミュージアム」は、その起源を「戦利品の陳列館」にもつものだといわれています。だとするとその出所のいわれは今になっても引き継がれているようで、経済の高度成長期、失われゆくものを収集し陳列しておけば開発の大儀にも傷がつかないといわんばかりに日本のあちこちにミュージアムが建設されたものです。 それに対して、エコミュージアムとは反陳列主義、室内に閉じこめておいたのを外に置くというばかりではなく、かつてあったのと同じ状態下、ということはその活動もまた現在進行形で行わせ、そうしたそうした生きた存在を見せることに意義を見出そうと言う考えでしょう。実はこれは、近年私たちの中にある風景観の変貌を体現した概念だと思います。 私は今回金賞になった「山里の秋」以下銀賞・銅賞の各受賞写真に、美しい自然景観を図像的に切り離してみるのではない、生きられている営みへの関心とアクチュアリティーを強く感じました。 風景写真から自然写真の視点へ。 何気ない、どこにでもあるシーンが、そうした視点によってみずみずしい新鮮な感動を呼び覚ますものとなってよみがえってくるようなのです。 私たちは、もう一度美意識を零度にかえして、環境を豊かによみがえらせるべきだと思いました。 |
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