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一般社団法人 地域環境資源センター
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平成27年度農業農村工学会環境賞を受賞しました!

 

 平成27年9月1日、岡山大学創立五十周年記念館で平成27年度農業農村工学会大会講演会開会式後に開催された学会賞授与式において、地域環境資源センターは農業農村工学会環境賞を受賞しました。
環境賞は、「農業・農村の生産・生活環境の改善や生態系保全等、美しい環境の保全や創出において優れた計画及び施工を行い若しくは管理・保全活動をした個人又は組織・団体」に対し授与されるもので、地域環境資源センターが長らく行ってきた「各地域における田園自然再生活動の展開」が美しい環境の保全や創出に貢献したと認められたものです。
 「各地域における田園自然再生活動の展開」の具体的な内容については、下記を参照下さい。

 

◇   ◇   ◇

 

田園自然再生活動の各地域での展開への貢献

 

1 はじめに
 近年の国民の環境保全意識の高まり等の中で、農業農村整備事業においても地域の環境保全対策に取り組んできており、平成13年の土地改良法の改正により「環境との調和への配慮」が原則とされた。また、地球環境問題、生物多様性への対応、さらに、地域自ら考えて行動が求められる、農地・水環境をはじめとした農村環境や自然環境の保全対策など、ハード・ソフトの総合的な対策の推進が必要になってきている。
 このような中、(一社)地域環境資源センター(以下、「センター」)は、農業農村整備事業における環境配慮の取組が適切かつ確実に実施されるよう、国、県などが具体的に取り組む際の指針、基準、マニュアル等の整備に注力してきた。
また、近年においては、これまで蓄積した知見を活用し、農地や農業水利施設などを対象に、多様な団体が生態系や景観を保全する「田園自然再生活動」について、活動の具体化、高度化のための支援に力を注ぎ、全国各地域で、地域住民、NPO、土地改良区等による活動が着実に展開され始めたところである。

 

2 具体的な取組内容
(1)田園自然再生活動コンクールの開催
 センターでは、地域住民、NPO、土地改良区など地域の多様な主体が参加した地域主導の自然環境保全・再生に向けた取組みを積極的に推進していくこと、また、このような活動の優良事例について表彰し、その成果を広く紹介することによって、活動団体や関係者への情報提供等の支援を行うとともに、一般の方々へ広く生物多様性や自然環境の保全・再生に対する理解を深め、活動への参画を啓発することを目的として、平成15〜25年度にかけて、農林水産省と環境省の協力を得て、「田園自然再生活動コンクール」(進士五十八審査委員長)を開催している。
 11年間にわたるコンクールでは、応募いただいた延べ730団体の中から優良事例80団体を表彰したところである。活動団体としては、受賞を目的とすることで活動の励みになり、また、受賞団体は、入賞をきっかけに地区外からの訪問者が増加して刺激を受け、地域活動がさらに活発化したという意見もある。このようにコンクールの実施を契機に、各活動団体の意識の向上が図られ、農村環境の保全活動の活発化にとどまらず、農村の活性化に少なからず寄与してきたものと思料される。
写真-1 コンクールの実施状況

 

(2) 関連の調査研究と出版物の発刊等による普及・啓発
 田園自然再生活動の取組が進められる中、「貴重な生きものの保全と農業との共存をどうするか」、「どのように農家と地域住民の協力をいただくか」、といった様々な課題が提起されたことから、センターでは平成18〜21年度にかけて、農林水産省の補助を受けて、「農村自然再生活動高度化事業」を実施し、課題解決に向けた調査研究を実施した。この事業の成果等を踏まえ、全国の先進的な取組をQ&Aの形で分かりやすくとりまとめた「生きものを育む田園自然の再生」1)を出版(平成24年)した。
 また、田園自然再生活動を進めるうえで重要となる“地域の環境と景観を住民自らの手でつくる”という視点から、手づくりによる環境整備と地域づくりを支援するため、基本計画から設計、経費の見積、工具の準備と使い方、施工方法と手順まで、イラストを使って詳しく易しく解説した「手づくり施工の農村環境整備」2)を発刊(平成25年)した。
さらに、「田んぼの学校」、「生きもの調査」などの田園自然再生活動の基礎となる取組の拡大と充実を支援するため、「田んぼの生きもの識別図鑑」をはじめ、参考となる冊子等を制作・出版し、また内容の充実を図るための改訂を進めている。センターで企画・制作した冊子等は表-1に示すとおりである。

 

表-1 生きもの調査等に係る冊子(グッズ)
刊行(最新) 冊子(グッズ)名
H24.5 水田魚道づくりの指針
H26.3 学び、遊ぼう!「田んぼの学校」フィールドノート
H25.2 田んぼの生きもの図鑑―魚・カエル編―
H26.7 田んぼの生きもの識別図鑑
H23.10 こんなにすごい!田んぼの役割
  田んぼの生きもの調査簡易同定版(下敷き)
  田んぼの生きもの調査(スタートキット)
  アクリル水槽

 

(3)田園自然再生活動協議会を組織化
 農村地域の自然環境の保全・再生を目指して農業者と地域住民、NPOなどが協力して行っている田園自然再生活動に取り組む団体のネットワークを構築し、田園自然再生活動に関する相互の連携・協力を促進することにより、田園自然再生活動の一層の向上と拡大を図ることを目的として、平成23年にセンターが事務局となり、「田園自然再生活動協議会」(中村桂子会長)を組織した。具体的活動としては、田園自然再生活動に関する情報の収集及び提供、会員相互の交流・提携の推進、研修会・セミナーの開催等を内容としている。会員は、田園自然再生活動コンクールの受賞者をはじめとした77団体(平成27年6月時点)である。なお、協議会の趣旨に賛同する団体等の入会を随時受け付けている。

 

3 今後の取組
 近年、農家の高齢化や減少、農業の大規模化や企業経営の増加など農業農村が急激に変化しており、その変化及び変化に対応する効率化の動きの中で、田園自然再生活動について、改めて体制を確立し、着実に活動していく必要がある。このため、「田園自然再生活動協議会」の会員等が一同に会し、相互に情報交換や意識啓発を図り、活動の継続、充実や拡大を図ることを目的として、本協議会とセンターの主催により、本年11月9日(月)に「田園再生活動の集い」の開催を予定している。
 このような情報交換等の場を含め、センターとしては、引き続き田園自然再生活動の全国的な展開と内容の高度化・充実化に向けて努力をして参りたい。

 

参考文献
1)地域環境資源センター(企画):生きものを育む田園自然の再生,農山漁村文化協会(2012)
2)地域環境資源センター(企画):図解手作り施工の農村環境整備,農山漁村文化協会(2013)

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