農村環境事業関連

農村環境部

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■選考総評
 
 いま各地では、時代の推移とともに失われた行事や景観を復活させたり保存する機運が、それらを地域資源として興そうという動きとともに盛んになっているようです。応募された多くの写真からも顕著な傾向を、あらためさせられました。観光化目的であれ何であれ、かつてあった行事や景観を見直すことは意義のあることだと思います。行事や景観をもたらしていた生活や技術、そしてそれによって成り立っていた社会の態様への想像が否応なしに促されるものだからです。
 行事や景観などは、その背景にあるものと不即不離、一体化して顕れてきたものでした。しかしいまそのことは忘れられがちです。したがっていまかつてのそうしたものを再見しようとする機運は一体化してあったのだということへの再認識をもたらしてくれるものだと思います。
 それは、現在の生活、技術、社会の態様下における農村のさまざまな営みの景観に新しい何かを発見する機会にもつながるでしょう。
 少し回りくどいいい方になってしまいましたが、私はこの発見へ向けた眼差しが、もっともっと多様に混じりあってほしいと望んでいる一人です。
 私たちそれぞれの記憶の中にある農村景観への郷愁も大切な心の動きですが、それと同じほどの心の動きを、現代の農村景観の観察へと向けてほしいものだと思うわけです。それによってきっと私たちは守り続けてゆくべき価値観やいびつな景観をもたらしている考えの不整合さに気づかされるのではないでしょうか。と、して、今年も多くの写真を見させていただいたわけですが、あらためてまた狭い日本の広さを思い知らされることになりました。
 金賞になった「雪おろし」のように、さまざまな想像を馳せさせる写真は、<現代>とか<農村>という言葉ではけっして一括りできない<広さ>を教えてくれます。そこには固有の生活があり、ということはそれぞれの文化を持った個人の生活がしっかりと存在しているのだと、つまり個人の顔が見えてくる思いで、そうなるとこの国の広さは人の数だけ広がるのだとも思えて、こうした現実感覚をもたらしてくれる写真の力にあらためて感動しました。
 記憶に倣って探すのではなく、目前の光景から新たに感動を受け入れる気持ちを持って、現代の環境を見つめたいものだと、私はもう一度思いました。
 同時に、写真はその記述法としてじつに優れた方法だと、あたためてたしかめさせられた次第です。






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