農村環境事業関連

農村環境部

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●樫原の棚田村(上勝町)


基 礎 諸 元 平均勾配 団地面積
1/3.67 5.5 ha



維持・保全・利活用状況
本町には多くの集落に棚田が存在している。その中で、この樫原集落は、「棚 田は、単に米を作るだけではない。我々の思いも生活も文化も全て棚田に集約されている」との考え方により、棚田を行かす道を見いだし、生き生きとした農村社会を作ることを目的とした『上勝町棚田を考える会』の設立に中心的な役割を果 たした。また、棚田フォトコンテスト等イベントを通じ都市住民との交流を図り情報発信を行い、棚田集落への理解を広げている。景観面 では、かつて谷沿いに多く並んでいた、精米のための水車小屋が集落住民の努力で復活を成し遂げ、農村景観の保全のみならず、昔の農業生産等の学習の場として、田植え体験等一部実施されているが、さらに今後の展開に期待されている。また、地主、集落住民、地域の住民等の協力により耕作放棄地の草刈りを実施し、農村景観の保全に寄与している。

推薦項目  国土保全     生態系の保全     景観     伝統文化の維持保全
推薦理由 国土の保全:『棚田では、米も収穫できるが、言葉を換えていうならば「農業」という「業」ではなく「治山治水事業」という「業」の方が強いように思う』。これは棚田を考える会会長の言葉であるが、まさにその通 りである。山間地の棚田は、地滑り地帯が多く、本町も例外ではなく耕地、土木地滑り地区のいずれかに指定されている。耕作を放棄し放置すれば、2,3年の内に崩壊が起き災害を招く恐れがある。また、平野部の水田は総じて「水持ち」が良く、山間部の棚田は「漏れ水」が多く、耕土の下に赤土をしめ固めて「床」を作って水漏れを少なくするようにしているが、それでもゆっくりと、地中に浸透して地下水となっていわば、森林が『緑のダム』と呼ばれているように棚田もその一端を受け持っている。

生態系の保全:コンクリート、ブロック擁壁でなく、空石積の擁壁のため、石と石の間には、草花が生え付き、草刈り等管理面 では苦労するが、蛙、蛇、虫等にとっては大切な住処となっている。

景観:周辺地域を含んだ農村風景としての美しさはもとより、四季を通じそれぞれの風情を醸し出す。先人の築いた石積には、草刈り用の段(足場)を備えたものがあったり、それぞれ違いがある。それは、高度な技術力に支えられ機能美を持っており、古代遺跡の持つような美しさが人々に感動と安らぎを与えてくれる。

伝統文化の維持保全:開墾等にまつわるものが、古代のため書き物が少ないので、今後引き続き調査が必要である。歴史の究明と会わせて先人より引き継いできた農業技術また石積工法等の伝統文化を守り、広めていき、今後教育の場として利用を模索している。

棚 田 の 概 況 枚 数 546 枚 水 源 河川(勝浦川水系樫原谷川
事業導入 法面構造 石積
開発起源 中世(平安〜室町)
営 農 の 状 況 対象農家数 14   戸 10a当収量 300 kg/10a
戸当り営農規模 0.4 ha/戸        39 枚/戸
高付加価値農業 上勝の棚田米ブランドで売り出し中。
特記事項の有無 なし。



●下影(井川町)


基 礎 諸 元 平均勾配 団地面積
1/4 1.1 ha



維持・保全・利活用状況
本棚田は、井川町の指導の下に地元下影集落が中心となり耕作されているが、耕作放棄地が拡大し、棚田保全が困難な状況となっている。

推薦項目  国土保全     景観     生態系の保全
推薦理由 国土の保全:本地域は地滑り地帯であるが、耕作や日々の見回りにより災害の未然防止に大きな役割を果 たしている。

景観:田植えの時期には、町内外から多くの写真愛好家が集まり、写真撮影が行われている。

生態系の保全:本棚田は空石積、土畦畔により維持されており、詳しい調査は行われていないが、多様な生態系の中で貴重な動植物が生息していると思う。写 真撮影時にも、大きな蛇と遭遇し、危うく田んぼに落ちそうになった。

棚 田 の 概 況 枚 数 30 枚 水 源 河川(渓流含む)
事業導入 法面構造 石積
開発起源 近代(明治〜昭和20年)
営 農 の 状 況 対象農家数 2  戸 10a当収量 350 kg/10a
戸当り営農規模 0.3 ha/戸        15 枚/戸
高付加価値農業 特になし。
特記事項の有無 なし。



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